PCメガネ(パソコン用メガネ)には、 効果はあるのか?
パソコンなどの液晶画面から発生するブルーライトを、
カットできるパソコン用のメガネ――
今や、こうしたパソコン用メガネは、
デジタル機器を手放せない現代人にとっては、必需品なのでしょうか?
パソコン用メガネは、「JINS(ジンズ)」「Zoff(ゾフ)」など、
様々な眼鏡チェーン店から販売されていて、
中でも「JINS PC」というPC用メガネは、
すでに300万本以上も売れている人気商品となっています。
([JINS PC][Zoff PC][Wikipedia])
眼鏡チェーン店のサイトでは、
こうしたPCメガネについて、様々な効果をうたっているようですが、
ではPCメガネは、本当に効果があるのでしょうか?
この「PCメガネの効果」については、
専門家による調査・実験が、いくつか行なわれており、
それらの調査結果を見る限りでは、
「PCメガネには、効果がある」と考えても良さそうです。
では、そうした専門家による調査結果について、
1つ1つ、ご紹介していきたいと思います。
「パソコン用メガネの効果」に関する調査
“『パソコン用メガネ(PC用メガネ)』の着用の有無によって、
パソコン作業による眼精疲労が、
どのように変わるのか”という事について調べるためのアンケート調査が、
井手武氏(南青山アイクリニック東京の副院長)が監修する下で、行なわれました。
この調査は、マイクロソフト日本法人の社員124人が参加する形で行なわれ、
第1週目は“パソコン用メガネをかけた状態”、
第2週目は“パソコン用メガネをかけない状態”の計2週間にわたって、
調査が実施されました。
そうした調査の結果、次のような事が、明らかになりました――
「パソコン用メガネをかけた週の終わり」と
「パソコン用メガネをかけなかった週の終わり」を比較すると、
「目の奥・首・肩・背中・腰の痛み」「ストレス」といった、
眼精疲労に関係すると思われる項目の多くで、
「パソコン用メガネをかけた週」の方が、自覚症状が改善していました。
そして現在では、日本マイクロソフトは、
パソコン用メガネの「ジンズPC」を、社内に導入していますが、
社員の感想も上々なようで、
「(ジンズPCのおかげで)眼の疲れが減った」「(ジンズPCは)非常に良い」
あるいは“(ジンズPCのおかげで)
仕事に集中できるようになった”というような意見がある、という事です。
([日経ウーマンオンライン][誠 Style][JINS PC モニターインタビュー][web R25])
「PCメガネの効果」に関する調査(その2)
今ご紹介した調査とは別に、
井手武医師は、もう1つ調査を行なっています。
こちらの調査も、前述した調査(マイクロソフトの社員が参加した調査)と同様に、
“PC用のメガネの効果”について調べるものでした。
今回の調査・実験に参加したのは、ボランティアの患者さんで、
「ブルーライトを約半分にカットするPC眼鏡」が使用されました。
この実験では、22人のボランティアの患者さんを、
「PCメガネをかけて、パソコン作業をするグループ」と
「PCメガネをかけないで、パソコン作業をするグループ」の、
2つのグループに分けました。
そうしてパソコンでの作業をしてもらった後で、
「目の疲労度を調べる検査」を行なうと、
“PC用メガネをかけて、パソコン作業をしたグループの方が、
疲労度は低かった”という事が、明らかになりました。
([日経ウーマンオンライン]
[誠 Style]
「PC用メガネの効果」に関する調査(その3)
杏林大学医学部の古賀良彦教授は、
20代〜30代の女性6人を対象に、 次のような調査を行ないました――
この女性たちには、4日間にわたって、 寝る前に1時間、
スマホ(スマートフォン)を使用してもらいました。
その4日間の内、2日間は
「ブルーライトを約50%カットするPC眼鏡(ジンズPC)」をかけて、
スマホを使用してもらい、
残りの2日間は「ブルーライトを素通しするメガネ」をかけて、
スマホを使用してもらいました。
そして「体の活動性を測る、腕時計型の機器(アクティグラフ)」を使用して、
調査期間中の体の動きを、比較しました。
その結果、「ブルーライトをカットするメガネ」をかけた時の方が、
睡眠中の最長睡眠期間(熟睡して、ほとんど体が動かない時間)が、
長くなる事が分かりました。
つまり“『ブルーライトをカットするメガネ』をかけた方が、
熟睡できる時間が、より長くなる”という事のようです。
この調査を行なった古賀教授は、次のように述べています。
「『JINS PC(ブルーライトをカットできるメガネ)』で、
ブルーライトをカットした時に比べ、
『素通しのメガネ』を使った夜は、『続けて眠れない、
つまり質の良い睡眠が、 長続きしない人が多い』という結果が示されました。
翌朝の状態を見ても、『JINS PC』を使った朝は、
スムーズに活動を始められますが、
『素通しメガネ』では、
活動するまでにかかる時間が、長くなる傾向がありました。
参加者へのアンケート調査では、ブルーライトを目に直接受けた夜は、
『寝つきが悪い』『朝起きるのが、つらい』『疲れが残っている』
『クマができた』という回答がありました。」
つまり寝る前に、スマホなどを使用する場合、
「ブルーライトをカットするPCメガネ」をかけた方が、熟睡できるし、
翌朝の体調も優れている、という調査結果のようです。
([日経ウーマンオンライン]
[NEWSポストセブン])
PCメガネには、効果があるようですが……
さて、ここまで
“『パソコン用メガネの効果』に関する調査”を3つ、 ご紹介してきましたが、
その3つの調査結果は全て、
“パソコン用メガネには、効果がある”と思えるような内容でした。
となると、日常的にパソコン作業をしていて、
そのせいで何らかの体の不調を感じている人は、
パソコンメガネ(PC用メガネ)を使用しても、ソンは無いのかもしれません。
島根大学の眼科学の講師である谷戸正樹氏は、こう述べています。
「『ブルーライトをカットするメガネ』をかけて、
目が楽になるのなら、かけた方がいい」。
谷戸さんによると、“青色光(ブルーライト)は散乱しやすいため、
まぶしさを感じる原因になるなど、
他の色に比べて、(ブルーライトは)
『目を疲れさせやすい光』であることは確か”だそうです。
また瓶井資弘氏(かめいもとひろ、大阪大学の眼科学の准教授)も、
次のように話しています。
「(ブルーライトカット眼鏡を、かけるのは)
簡単な方法だが、 将来の目のトラブルを、減らせる可能性がある」。
(毎日新聞)
こうして、専門家の方たちの意見を読んでいくと、
ブルーライトカット眼鏡の使用を、考えても良いように思えてきます。
ただし「全ての年代の人」にとって、
こうしたブルーライトカットのメガネが、 必要なのかどうかについては、
検証する必要があるのかもしれません。
というのも“『50代以上の人』には、
ブルーライトカットのメガネは、
あまり必要がない”という可能性もあるからです。
なぜでしょうか?
それは、年を取ると共に、目の中にある「水晶体」が濁り始め、
その結果「水晶体」が、ブルーライトをカットする役割を
果たすようになるためです。
そして50代〜60代になると、
網膜に届く前に、30%〜40%のブルーライトが、
水晶体によってカットされるようになるそうです
(「日経トレンディネット」の記事による)。
また、松本眼科の院長である松本拓也氏のブログにも、
次のように書いてあります。
「人間の水晶体には、ブルーライトをカットする機能が備わっており、
年令とともにカット率が増え、45才なら眼鏡を掛けなくても、
3割〜5割ほどの青色(ブルーライト)が、
自然にブロックされている、との事です。」
結論として、「日経トレンディネット」は、次のように書いています。
「小さい子供の水晶体は、濁りがほとんどなく、
相対的に青色光(ブルーライト)の影響を受けやすいと考えられるが、
ある程度の年齢になれば、
(ブルーライトは)過度に気にする必要はない、と言えそうだ。」
([ある奈良県の眼科医が目について書いたブログ][Wikipedia])
また、人間が健全な日常生活を送っていくには、
ブルーライトを浴びる事が、必要な側面もあるため、
ブルーライトを完全に遮断してしまうのは、
これはこれで問題があるようです。
次のページでは、そうした事について、お伝えしたいと思います。
次のページ……ブルーライトは、無害?
↓「ブルーライト」についての記事(全4ページ)↓
・ブルーライトは有害?
パソコン、スマホを使いすぎると、失明する?(1ページ目)
・ブルーライトを、無料で減らす方法
――PCメガネは、買わなくても良い?(2ページ目)
・PCメガネ(パソコン用メガネ)には、効果はあるのか?(このページです)
・ブルーライトは、無害?(4ページ目)
【参考文献】
・ブルーライトによる睡眠の質の低下に、睡眠障害の研究者が警鐘(NEWSポストセブン)
・ブルーライトは、何が悪い?(誠 Style)
・女子のプチ不調の一因は「ブルーライト」?(日経ウーマンオンライン)
・「PCメガネ」は必須?50代より上の世代は、PC用メガネが不要?(日経トレンディネット)
・ブルーライトをカットするパソコン用メガネは、効果がある? (ある奈良県の眼科医が、目について書いたブログ)
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