児童虐待・子供虐待の防止が、
世界と日本を変える

現在、日本では
児童虐待が、深刻な社会問題となっています。

厚生労働省が発表しているデータなどによると、この日本では
「3日〜4日に、1人」という高頻度で
児童虐待によって、子供が死亡しています。
([IWJ] [3keys])

また“日本全国の児童相談所が対応した、児童虐待の件数”は
ここ25年間は連続して、増加し続けており、
2015年度の児童虐待の件数は、過去最多の10万3260件で
初めて10万件を、突破しました。
([東京新聞][産経ニュース])

この児童虐待という行為は
「虐待される子供」に対して、大きな悪影響を及ぼす事は、明らかですが
子供だけでは無く、「社会」「国家」全体にとっても
大きな悪影響がある事が、様々な調査によって、分かってきました。

児童虐待は、どんな悪影響を、社会に及ぼすのでしょうか?
それを、次に書いていきたいと思います。

「犯罪者」「ヤクザ」が、増える

犯罪社会学者の廣末登氏の調査によると、
「暴力団へ、入った事がある人(ヤクザ)」は
次のような家庭で、育てられた人が、多いそうです――
家庭内暴力が絶えない「葛藤家庭」、
親が、子供の面倒を見ない「放置家庭」、
親と子の会話が、極めて少ない「意思疎通上の機能不全家庭」など。
(デイリー新潮)

また、心理職の国家公務員として
刑務所の受刑者のカウンセラーなどを務めてきた小澤禧一氏によると、
刑務所の受刑者の、3分の1以上の人が
“親からの虐待・体罰などを、受けてきた人たち”だったそうです。
(断想)

少年犯罪が、増える

日本全国の少年院にいる子供・約2300人に対して
法務総合研究所が、行なった調査によると、
約50%の子供に、虐待の被害体験がありました。
(Think Kids)

また「大分県」は、次のように述べています。
「『万引きを繰り返す、家出を繰り返す、
過度に、性的な興味・関心を示す』などの非行の背景には
虐待がある場合があります。」

「アルコール依存」「薬物依存」などが、増える

赤城高原ホスピタル」は、次のように述べています。

「『被虐待者(虐待を受けた人)は
アルコールや薬物の乱用・依存などに、走りやすい』という傾向が、みられます。
(児童虐待によって)幼児期に人格を侵害され
『自分を大切にする』という事を、家庭で学べなかった子供たちは
『アルコールやクスリで、自分を変える』という危険な誘惑に、勝てません。」

また、臨床心理士の山名裕子氏は
「(依存症になる人は)愛情に飢えてる人が、すごく多い」と述べており、
幼少期に「虐待」などで、家庭が機能していない状態で育ち
大人になってもトラウマを抱えている「アダルトチルドレン」は
依存症になる傾向が強い、という事です。
(キャリコネ)

暴力的な人間が、増える

前述の元心理職員の小澤禧一氏は、刑務所の受刑者について
次のように述べています。

「親から暴力的なしつけを受けて育てられた受刑者は、
思い通りに、事が運ばなくなると
親と同様に、すぐにイラ立ち、攻撃的な衝動が抑えきれず
暴力的言動を現す者が多いことも、分かってきました。 
子供の頃から、暴力を振るう親のもとで、その被害を受けている内に、
次第に自分も、そのような行動を学んできたのです。

信頼と愛情に満ちた親子の関係が、打ち切られ
(親からの)体罰という恐ろしい目に、あい続けますと
次第に親だけではなく、周りの誰をも信頼できなくなり
『いつ危害が加えられるか分からない』と、警戒・敵視し
相手が攻撃的では無いのに
『先制攻撃に出る、暴力的・衝動的な態度』が、身についてきます。」

また「シンクキッズ(NPO法人)」は、次のように述べています。

「『虐待を受け続けた子ども』は『そうでない子ども』に比べ、
強い攻撃性を持つことが、あります。

親が子供に対して、殴るなどの虐待行為を行なうのは
『トラブルの解決方法として、暴力をふるう』という面があります。
『虐待を受けた子ども』は
『トラブルの解決方法として、暴力をふるう』という事を、親から学習しており
それを自分も利用するようになってしまう、という事が考えられます。」

衝動的に行動する人間が、増える

福井大学の「子どもの心の発達研究センター」の教授である友田明美氏によると、
“長期間、虐待や体罰を受けてきた人は
キレやすく、衝動的な行動を、取りやすい”という事です。

なぜ、虐待などを受けてきた人が
キレやすく、衝動的な行動を、取りやすくなってしまうのかというと、
“虐待や体罰が、『虐待などを受けてきた人』の脳の発達の遅れを
引き起こすためである”という事で、その詳しいメカニズムについて
友田教授は、次のように説明しています――

「小児期に、激しい虐待を受けると
脳の一部が、うまく発達できなくなってしまう。
そういった『脳に、傷を負ってしまった子供たち』は
成人になってからも、精神的なトラブルで、悲惨な人生を、背負うことになる。
小児期に受ける虐待は、脳の正常な発達を遅らせ
取り返しのつかない傷を、残しかねない。
極端で長期的な被虐待ストレスは、子どもの脳をつくり変え
『さまざまな反社会的な行動』を起こすように、導いていく。」

この友田教授によると、“長期間、体罰を受けてきた人は
感情や意欲にかかわる、前頭葉の一部(脳の一部)が
20%ほど、小さくなる”という事です。

そして友田教授は、次のように述べています――
「そういう人は、キレやすい。
衝動的な行動を取りやすく、非行を繰り返す。」
([中日新聞] [Science Portal])

また「大分県」は
“虐待を受けた子供の特徴”について、次のように述べています。

「『衝動的な行動』『落ち着きのなさ』『集中力の欠陥』などが
特徴として、指摘されています。」

また、前述の元心理職員の小澤禧一氏は、次のように述べています。

「『行為障害のある非行少年』や『反社会性人格障害をもつ犯罪者』に
特徴的なことは、幼児期から、周囲との暖かい人間関係が妨げられ
『正常な感受性、良心、道徳心』が育たず
他人の苦しみや悲しみに無関心で
『相手に、苦痛や被害を与えても、相手の痛みが分からない』など
感受性の希薄さが、感じられる事です。 

この種の人格障害者の、もう一つの特徴は
『その時々で、やりたい』と思ったら、その衝動を自制できない事です。
意味もなく、小動物を惨殺し、衝動的に物を盗み
無謀運転し、賭博に大金を賭けて興奮し
ささいな事で激怒し、破壊・暴行・殺人に及んでも
それによって衝動を発散し終えれば、気分がスッキリし
反社会的行動をした意識も罪悪感も、わきません。」

知的な発達が遅れ、知的障害者が、増える

シンクキッズ(NPO法人)」は、次のように述べています。

「『頭を殴打される』『強く揺さぶられる』といった
頭部への外傷を、加えられる事により
脳や神経系に、障害が加えられた結果、
知的障害になる事は、多くあります。

そのような傷害を、加えられなかった場合でも
親から虐待を受け続けた事による心理的な影響や
『発達に不可欠な、幼少期の好奇心を満たす、遊び』が、暴力的に抑圧されるため
知的な発達が遅れる、と言われています。」

また「福岡県庁」は、次のように述べています。

「ネグレクト(育児放棄)によって
『語りかけ等の、年令相応の知的刺激』や
『成長に必要な関わり』が、得られないために、
知的発達が、妨げられる事があります。」

「児童虐待があるせいで、日本人全員が
非常に大きな負担を、強いられている」という現実

いかがでしたか。
虐待を放置すると、社会にとっては
良い事は、何も無い事が、分かりました――

犯罪や犯罪者が、増え
暴力的・衝動的な人間が、増え
「アルコール依存」「薬物依存」などが増え
知的障害になる人が、増える・・・

虐待のせいで、犯罪や犯罪者が、増加すれば
“その犯罪によって、人生を台無しにされる、不幸な一般市民”が増え
また、治安を維持するために、犯罪対策のために、
多額の税金を、投入しなければなりません。

虐待のせいで、「アルコール依存」「薬物依存」などが増えれば
その治療のために、医療費が膨らみ
国の財政を、圧迫する事になります。

これら“児童虐待が、もたらす深刻な影響”は
日本という国家全体を直撃し、
「増税」「国力の低下」などの形となって
日本国民に、大きな負担として、のしかかってきます。

つまり“私には、子供がいないから、児童虐待なんて、私には関係ない”とか
“よその子が、虐待されても、ウチとは関係ない”という話では無いのです。

児童虐待とは、日本人全員に、大いに関係のある話であり
児童虐待があるせいで、日本人全員が
「税金」「治安」、その他の様々な面で
今現在、非常に大きな負担を、強いられているのです。

児童虐待を防止する事は、
全ての問題の解決に、つながる

今、日本では
「改革」が、盛んに叫ばれています。
それだけ、日本には現在、様々な問題が山積している、という事ですが
この日本だけでは無く、世界中を見渡してみても
「テロ」「貧困」「戦争」などなど、多くの問題が、横たわっています。

“この改革(対策)を、実行すれば
全ての問題が、解決する”などというような都合の良い話は、
なかなか無いのかもしれません。

しかし、実行すべき、数多くある改革案の中でも、
児童虐待の防止が、“最も重要な改革”
“全ての問題の解決に、つながる改革”なのかもしれません。
なぜ、そう言えるのでしょうか?
今から、説明していきたいと思います。

「虐待を放置すると、
犯罪や犯罪者が、増え
暴力的・衝動的な人間が、増える」という事は、すでに書きました。

という事は、逆に言えば
「虐待が減れば
犯罪や犯罪者が、減り
暴力的・衝動的な人間が、減る」という事です。

つまり「児童虐待が原因で、今現在、犯罪者になってしまった人」も、
もし児童虐待が、防止されていたならば
「不正に手を染めずに、社会に貢献できる人間」に、なっていたかもしれません。
つまり、児童虐待を防止する事によって、
多くの悪人を、多くの善人へ、変える事ができて
「質の良い・優秀な・有能な人間」を、増やす事ができるのかもしれません。

もし、そうなった場合
そうした「質の良い・優秀な・有能な人間」が、
あらゆる分野で――政治、科学技術、医学、教育、企業経営などなどで活躍し
あらゆる分野を、改革・改善していく事になるでしょう。

つまり、今の話を、まとめると
次のようになります――

児童虐待を防止する事によって、
「質の良い・優秀な・有能な人間」が増え
彼らが、あらゆる分野で活躍し
あらゆる分野を改革し
あらゆる問題を、解決していく――
そのようになる可能性は、あるのではないでしょうか。

だから、数多くある改革案の中でも、
児童虐待の防止が、“最も重要な改革”
“全ての問題の解決に、つながる改革”であり、
「児童虐待の防止」以上に、大きな影響を、世界に及ぼす事ができる改革は
他には無いのかもしれません。

児童虐待を防止すれば、
自然と、自動的に
世界全体が、改革・改良されていく

“人間社会が抱えている問題は、全て
人間が生み出している”とまでは言い切れないものの、
“人間社会が抱えている問題の、多くは
人間が生み出している”とは、言えるのでは無いでしょうか。

“この世界の問題を、生み出しているのは、人間である。
したがって、この世界の問題を解決するのも、また
人間である”と考えるならば、
“人間社会が抱えている問題を、解決するために
一番、重要な事(一番、重要な要素)”は、
「人間の品質」なのかもしれません。

そして、その「人間の品質」を向上させるために出来る事の中でも
最も効果のある事・対策の1つが、
「児童虐待の防止」では無いでしょうか。

この世界を、大きく変えたいのなら、
1人1人の人間の質を、向上させるしか無いでしょう。

「児童虐待の防止」によって、人間の質を、向上させる事ができれば、
「質の良い・優秀な・有能な人間」が増え
彼らが、あらゆる分野で活躍し
あらゆる分野を改革し
あとは勝手に・自然と・自動的に
世界全体が、改良されていくのかもしれません。

“少子化・人口減少による、国力の低下”を
食い止めるための最善の策は、
子供虐待の防止

日本を含めた、多くの先進国において
出生率が下がり、少子化が進んでいます。
少子化が進み、人口が減っていく事により、
国力が、どんどん低下していく――
そうした“人口減少による、国力の低下”を、食い止めるために
“海外から、移民を、もっと受け入れよう”という議論もあります。
たしかに、移民の増加は、必要なのかもしれません。

しかし“人口減少による、国力の低下”を、食い止めるための対策としては
“自国民(日本人)の質を、上げる”という事を
まずは最優先で、考えるべきでは無いでしょうか。

“人口減少による、国力の低下”に直面している日本が、国力を維持するためには
少子化により、徐々に少なくなっていく日本人を
できる限り、有効活用する必要があり
そのためには、1人1人の日本人の質を、向上させる事が、急務でしょう。

すでに述べたように、子供虐待を防止する事によって、
犯罪や犯罪者を減らし
暴力的・衝動的な人間を減らし
「質の良い・優秀な・有能な人間」を、増やす事ができる可能性があります。
もし、そうした「優秀な日本人」を増やす事ができるならば、
人口が減少していく状況下においても
ある程度は、国力の低下を、食い止める事ができるのかもしれません。

だから「国力の維持」という観点からも、
「子供虐待の防止」は、非常に重要だと思われます。

しかし、もし日本が、子供虐待に対して、大した手も打たず
現状のまま、子供虐待を放置し続けるのであれば、
“子供虐待によって、将来の財産である人材が
次々と失われていく”という状況が、今後も続く事になります。
そうなった場合、日本は
衰退の一途を、たどる事になるのかもしれません。

国民の1人1人が
「子供虐待」という問題に、関心を持つ事こそが、
子供虐待の防止に、つながる

「子供虐待の防止」以外の問題、
たとえば「憲法の改正」などは、
左右の政党による賛成・反対が、激しく衝突して、合意の形成が難しく
時間ばかり、かかって、なかなか成果が上がらない課題です。

しかし「子供虐待の防止」は、
左右の主義の対立なく、進めやすい政治課題なのでは無いでしょうか。
「どのような法案を作って、子供虐待を防止するのか」という各論では
政党によって、意見の対立が、あるのかもしれませんが、
「子供虐待は、防止しなければならない」という総論では
全ての政党が、合意できるでしょう。

だから「財源」と「国民の支持」さえあれば、
「子供虐待の防止」という政策は、推進しやすいのかもしれません。

ただし、政治家という生き物は、
「票になる改革」には、強い関心を示しますが
「票にならない改革」には、極めて無関心です。

ですから、国民の1人1人が
「子供虐待」という問題に、関心をもって、
「子供虐待の防止」に、力を入れるよう
政治家に、働きかける必要があるでしょう――
“『子供虐待の防止を、重視する政治家・政党』を、強く支持し
そうした政治家・政党に対して、投票する”というような姿勢を
国民自らが、示すべきでしょう。

数多くある改革案の中でも
子供虐待の防止が「全ての問題の解決に、つながる改革」であり
左右の主義の対立なく、進めやすい政治課題であるとするならば、
「子供虐待の防止」とは、「一番、近道で、安上りで
最大の成果を生む改革」と言えるのかもしれません。



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親から虐待されていた独裁者たち――ヒトラー、スターリン、サダム・フセイン……
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児童虐待・子供虐待の防止が、世界と日本を変える(このページです)
親から虐待されていた独裁者たち――
ヒトラー、スターリン、サダム・フセイン……
(2ページ目)
【参考文献】
年間90人の子供たちが、虐待で死亡する現実(IWJ)
児童虐待10万件超、25年連続の増加(東京新聞)
児童虐待が、初めて10万件を超す(産経ニュース)
虐待が子供に与える、深刻な影響(シンクキッズ)
人格障害者の誕生(断想)
児童虐待の防止について(大分県)
児童虐待とは(福岡県)
子供虐待の後遺症(赤城高原ホスピタル)
虐待の連鎖を、断ちたい(中日新聞)
児童虐待と、癒やされない傷(Science Portal)
DVが、子どもを「依存症」に追い込む?(キャリコネ)
データで見る、子どもの貧困と格差(3keys)
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