親から虐待されていた独裁者たち―― ヒトラー、スターリン、サダム・フセイン
「歴史上の、最大の悪人は、誰だと思う?」という質問されたら
あなたは、なんと答えるでしょうか?
ヒトラー、スターリン、サダム・フセイン……
こうした20世紀を代表する独裁者たちの名前を挙げる人も、多いと思います。
確かに彼らは、希代の悪人でした。
自分に反対する者については、容赦なく強制収容所へ放り込み
多くの国民を弾圧し、そして殺害しました。
しかし、彼ら3人の独裁者は、
はたして“生まれながらの悪人”だったのでしょうか?
実は、「スターリン」「ヒトラー」「サダム・フセイン」この3人全員が
彼らが子供だった頃、親から虐待されていました。
彼ら3人の独裁者は、親から、虐待され続けたせいで、
徐々に心が歪んでいき、平気で多くの人間を、弾圧・殺害するような
冷酷・残忍な性格になっていったのかもしれません。
それでは、彼ら独裁者たちは、幼少時代
親から、どのような虐待を、受けてきたのでしょうか?
それを、次に書いていきたいと思います。
スターリンが受けた虐待
スターリンの父親であるヴィッサリオンは、ひどいアルコール依存症で、
気に入らないと事があると、すぐに
妻と子供(スターリン)を、ムチで打って、虐待していました。
スターリンの母親であるエカテリーナは
後年、次のように話しています――
「ある時、酔ったヴィッサリオン(スターリンの父親)が、
幼い息子のヨシフ(スターリン)を持ち上げて
力まかせに、床に叩きつけた。
そのために幼子は、何日か、血尿が止まらなかった。」
このように、ひどい虐待を受けてきたスターリンでしたが、
スターリンにとって、さらに不幸だったのは
この父親だけでは無く、母親までもが
スターリンを虐待した、という事でした。
スターリンの母親であるエカテリーナは
スターリンが言うことを聞かなければ、
しつけのために、スターリンの事を、容赦なく殴ったのです。
母エカテリーナの晩年に、スターリンは、エカテリーナのもとを訪れましたが、
この母子の間で、次のような会話が、かわされました――
スターリンが「どうしてお母さんは僕を、あんなに、ぶったの?」と聞くと
母エカテリーナは「そのおかげで、お前は
こんなに、いい人になったんだよ」と答えたのでした。
この会話からも分かるように、
スターリンの母親であるエカテリーナは、“体罰のおかげで
息子スターリンが、立派な人間に成長した”と信じていたようですが、
彼女の体罰は、息子スターリンの事を、良い人にしたどころか、
おそらく、その真逆の効果しか、生み出さなかったように思われます。
なぜなら母エカテリーナの体罰と、父ヴィッサリオンの虐待によって
育てられた息子スターリンは、その後
数百万人を虐殺するような暴君となったからです。
([Wikipedia@]
[パーソナリティ障害を乗りこえる]
[WikipediaA])
ヒトラーが受けた虐待
ドイツの独裁者であったヒトラーもまた、スターリンと同様に
父親から、暴力をふるわれて、育てられた人間でした。
ヒトラーの父親は、農業を営んでいましたが
それが失敗に終わると、そのイラ立ちから
息子ヒトラーに対して、鞭を使った体罰を、たびたび行ないました。
この“父親からの暴力”について
ヒトラー本人が後年、周囲の人に、話していますが
それは、次のような話だったそうです――
普段は、父親に殴られる時には、母親に来てもらいたくて
ヒトラーは、泣きわめいていました。
しかし、ヒトラーは、ある作戦を思いつきました。
その作戦とは、“父親に殴られるたびに、その回数を
ヒトラーが、大声で数える”というものでした。
実際に、父親から殴られるたびに、その回数を
ヒトラーが「1、2、3、4、5」と、大声で数え始めると
ヒトラーの父親は「息子(ヒトラー)が、気が狂ってしまった」と思って、震え上がり
ヒトラーの事を殴るのを、やめたそうです。
([Wikipedia]
[アドルフ・ヒトラー五つの肖像])
サダム・フセインが受けた虐待
イラクの独裁者であったサダム・フセインは
自身が生まれる前に、実父を亡くしており、
母親の再婚相手である継父から
暴力・体罰などの虐待を受けて、育てられました。
この虐待された体験から、サダム・フセインは
“自分の子には、厳しいしつけは、したくない”という考えを持ったそうで、
実際に、サダム・フセインに、長男が生まれた時
サダム・フセインは、この長男の事を、甘やかして育てたそうです。
([日本財団図書館]
[Wikipedia]
[自己価値感の心理学])
児童虐待が、独裁者を生み出した可能性
心理職の国家公務員として
刑務所の受刑者のカウンセラーなどを務めてきた小澤禧一氏は、
“親から暴力的なしつけを受けて育てられた人”について
次のように述べています。
「信頼と愛情に満ちた親子の関係が、打ち切られ
(親からの)体罰という恐ろしい目に、(子供が)あい続けますと
(その子供は)次第に親だけではなく、周りの誰をも信頼できなくなり
『いつ危害が、加えられるか分からない』と、警戒・敵視し
相手が攻撃的では無いのに
『先制攻撃に出る、暴力的・衝動的な態度』が、身についてきます。
『反社会性人格障害をもつ犯罪者』に、特徴的なことは
幼児期から、周囲との暖かい人間関係が妨げられ
『正常な感受性、良心、道徳心』が育たず
他人の苦しみや悲しみに無関心で
『相手に、苦痛や被害を与えても、相手の痛みが分からない』など
感受性の希薄さが、感じられる事です。」
(断想)
以上の事は、「スターリン」「ヒトラー」「サダム・フセイン」の全員に
あてはまる内容では無いでしょうか。
この点において
「スターリン」「ヒトラー」「サダム・フセイン」の人格形成において、
親からの虐待が、悪い形で影響した事が、うかがえます。
児童虐待を防止する事によって
世界や歴史を、大きく変える事が出来る
もし、彼ら3人の独裁者(スターリン、ヒトラー、サダム・フセイン)が
親から、異常な虐待・体罰を受けずに、子供時代を過ごしていたとしたら
どんな人間になっていたでしょうか?
もしかしたら、独裁者などにならずに
“国家に貢献できる、マトモな政治家”になっていたのかもしれません。
もちろん、親からの虐待が、全く無かったとしても、
やはり冷酷・残忍な独裁者になっていた可能性もあります。
“彼ら3人の独裁者の、悪の起源”については
虐待だけでは説明しきれないのかもしれません。
しかし、こちらのページで書きましたが、
児童虐待を防止する事によって
悪人になるかもしれない人を、善人へ
変える事ができる可能性もあるのです。
もし、彼ら3人の独裁者が
親から虐待されずに、愛情のある家庭で、育てられていたならば、
そして、その結果、良心のある人間に育っていたならば、
歴史は、大きく変わっていた事でしょう。
ヒトラーによって、引き起こされた、第二次世界大戦は
起きなかったかもしれませんし、
数百万にも及ぶユダヤ人の大虐殺も、起きなかったかもしれません。
ソ連(ロシア)における、血の粛清(大虐殺)も、起きなかったかもしれません。
あるいは、「イラン・イラク戦争」「湾岸戦争」「イラク戦争」も
起きなかったかもしれません。
そのように考えていくと、「児童虐待の防止」とは
「歴史すら、大きく変える力を持つ改革」と言えるのでは無いでしょうか。
「数多くある改革案の中でも、
児童虐待の防止が、『最も重要な改革』
『全ての問題の解決に、つながる改革』であり
『児童虐待の防止』以上に、大きな影響を、世界に及ぼす事ができる改革は
他には無いのかもしれない」という事は、こちらのページで書きましたが、
もし「児童虐待の防止」が、世界中で、効果的に行なわれていくならば、
まさに世界や歴史を、大きく変える事が出来るのかもしれません。
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児童虐待・子供虐待の防止が、世界と日本を変える
↓「児童虐待・子供虐待」についての記事(全2ページ)↓
・児童虐待・子供虐待の防止が、世界と日本を変える(1ページ目)
・親から虐待されていた独裁者たち―― ヒトラー、スターリン、サダム・フセイン……(このページです)
【参考文献】
・ヨシフ・スターリン(Wikipedia)
・大粛清(Wikipedia)
・アドルフ・ヒトラー(Wikipedia)
・アドルフ・ヒトラー五つの肖像(Amazon)
・絶体絶命、サダム王朝(日本財団図書館)
・ウダイ・サダム・フセイン(Wikipedia)
・パーソナリティ障害を、乗りこえる(Googleブックス)
・自己価値感の心理学(Googleブックス)
・人格障害者の誕生(断想)
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